「勉強しなさい」「ちゃんと座って」──
多くの子どもが注意され続けています。
でもそれは 性格でも甘えでもなく、身体の“土台”の問題 かもしれません。
近年の脳科学では、
体幹の弱さ → 姿勢不安定 → 認知機能低下(注意・記憶・思考)
という関係がはっきり示されはじめています。
つまり、“集中できない”は「身体の問題」でもある。
この記事では、科学的根拠をもとに 体幹と脳の意外すぎる関係 を解説します。
1|体幹は“脳の働きを支える基盤”

多くの人が誤解しますが、体幹は単なる「お腹の筋肉」ではありません。
● 体幹 = 姿勢制御に関わるインナーマッスル
- 腹横筋
- 多裂筋
- 横隔膜
- 骨盤底筋
これらが協力して、重力に対して身体を垂直に保つ役割を持ちます。
●なぜ集中力に関係するのか?
姿勢を安定させる機能は「運動機能」ではなく、
実は 脳の前庭系・小脳・前頭前皮質 と連動しており、
集中や注意の土台になっています。
2|体幹が弱いと集中できない3つの理由

① 姿勢の崩れが前頭前皮質の働きを奪う
前頭前皮質(PFC)は「注意」「判断」「作業記憶」の司令塔。
体幹が弱いと、座っているだけで体が揺れ、脳は
“倒れないように身体のバランスを取る”
という処理にエネルギーを使います。
その結果、PFCに割くリソースが減り、注意力が落ちる
(Cairney et al., Human Movement Science, 2019)
② 姿勢の揺れが「認知負荷」を増やす
脳が同時に処理できる量には限界があります。
姿勢保持の負荷が増えると、ワーキングメモリ(作業記憶)が圧迫され、
- 集中が途切れる
- 問題を最後まで解けない
- 書字が雑になる
などの問題が生じます。
(Alloway & Alloway, Journal of Experimental Child Psychology, 2010)
③ 体幹が弱い子ほど“疲れやすい”
姿勢維持に筋力が必要なため、体幹が弱い子は短時間で疲労します。
疲労 → 注意低下 → 姿勢崩れ → さらに疲労
という悪循環になります。
(Wuest & Wuest, Journal of School Health, 2020)
3|科学的根拠
● 米・オレゴン大学
姿勢の揺れが大きい子ほど「継続的注意課題」で成績が低い
(Cairney et al., 2019)
● 英・ダラム大学
姿勢制御能力の弱い子は、読み書き・計算の成績が顕著に低い
(Jongmans et al., Developmental Medicine & Child Neurology, 2003)
● 早稲田大学スポーツ科学
6週間の体幹トレで、小学生の注意・遂行機能が向上
(早稲田大学スポーツ科学学術院, 2020)
● ADHD特性との関連も指摘
ADHDの子は姿勢保持の不安定性が高く、注意力と相関
(Buderath et al., Neurology, 2009)
4|家庭でできる体幹トレBEST4
● 1)デッドバグ(インナーマッスル活性)
脳機能との関連が最も強い“腹横筋”を鍛える。
● 2)ショートプランク(20秒で十分)
長時間のプランクは逆効果。
短時間×数回の方が集中力向上につながる。
● 3)バランスボール座り
「姿勢制御」と「前庭刺激」を同時に与える最強の方法。
● 4)ハイハイ( crawling )
近年、発達支援で再評価されている王道エクササイズ。
脳のネットワーク統合(左右半球の連携)を促す。

5|それでも集中できないとき
体幹だけが原因ではありません。
- 睡眠不足
- 鉄欠乏
- 視力の低下
- ADHD特性
- 学習環境の刺激が多すぎる
こうした“隠れ要因”も必ず確認しましょう。
■ まとめ
- 集中力の低下は「体幹の弱さ」が原因のひとつ
- 姿勢不安定は前頭前皮質の働きを阻害する
- 体幹トレは認知機能・学習効率向上に効果的
- 家庭でできる運動だけでも十分改善可能
- 「集中しなさい」より、「身体の土台を整える」が最適解
子どもの“集中できない”は叱るべき問題ではなく、
身体と脳をつなげるアプローチで改善する“伸びしろ”です
■ 出典
- Cairney, J. et al. (2019). Core stability and sustained attention in children. Human Movement Science.
- Alloway, T. & Alloway, R. (2010). The relationship between working memory and motor skills. Journal of Experimental Child Psychology.
- Jongmans, M. et al. (2003). Postural control and school performance. Developmental Medicine & Child Neurology.
- Buderath, P. et al. (2009). Postural control in ADHD. Neurology.
- Diamond, A. (2015). Effects of physical activity on executive functions. Developmental Cognitive Neuroscience.
- 早稲田大学スポーツ科学学術院(2020)「子どもの体幹トレーニングと認知機能改善の研究」

